土佐の一本釣り


鰹は回遊魚です。南の海で産まれた鰹の幼魚たちは、黒潮に乗って北海道沖近くまで北上します。そして成長した鰹は、海水温の低下に促され故郷の南の海に戻っていきます。

鰹は、早春の3月頃からぼつぼつと土佐沖に姿を見せ始めます。4月初旬から7月にかけて水揚げされる鰹を初かつお(上りかつお)と呼び、その鰹の群れは三陸沖から北海道沖に向かいます。その後成長したかつおは、9月頃の海水温が下がってくる時期にUターンを始めます。この、9月から11月にかけて土佐沖に戻ってくるかつおを戻りかつお(下りかつお)と呼びます。

土佐の鰹が有名なのは、鰹漁の基地としてということもありますが、土佐沖の海を通る時期の鰹が一番おいしいこともその理由の一つです。その中でも土佐久礼は、高知県の中央部にあって、青柳裕介氏の「土佐の一本釣り」という漫画の舞台にもなった漁師町であります。

かつお漁の模様

鰹の漁は、引き縄釣り・一本釣り・巻き網などがありますが、土佐では引き網釣りか一本釣りの2種類が行われています。 鰹船団がナブラ(鰹の群)を見つけると、群れの先頭より中央寄りに船をつけ、散水器で水を撒きながら餌となるイワシを散布し、一斉に釣り上げていきます。 鰹の群れが船につくと、船上も鰹も興奮状態となり、数時間にもおよぶ交戦が繰り広げられます 。

鰹は、流れ物(流木や網など)、鳥の群れ(マトリは鰹の居場所を漁師に教えてくれる)、サメ(主にジンベイザメ)、鯨などの影を追いかけて群れているので、とにかく海面の浮遊物を探すのが、ナブラを見つけるポイントになります。
鰹の時期ともなれば、土佐久礼の鰹船団(中型船・小型船)は、夜中に出漁して夕方に帰港する早業のピストン操業となり、市場は戦場のような活気となります。この、早業のピストン操業ゆえに鮮度のよい鰹が水揚げされるのです。